暁月のフィナーレは旅好きに刺さりまくるストーリーだった
FF14暁月のフィナーレをクリアして約1か月。
ようやく物語全体を咀嚼して自分のものにできてきたかなと思えたところなのですが、リアルゼアで世界一周をするくらい旅好きな人間にとって、ヴェーネスの精神性だったり今回のテーマだったりに対してとてもとても共感することがあったので、そのあたりについて語らせてください。
が、まずはとにかく一言。
暁月、本当に最高だった!!!!!!!!!!!!!!!
以下、ヴェーネスとの邂逅~ラストまでの語りです。
(当然ですがネタバレしかありません)
エルピスに到着した段階ではまだ、多くのプレイヤーがハイデリンのことを疑っていたと思うのですが、かくいう私もその一人でした。それでも出会ってすぐに、元アゼムであること、未来からきたことを推察できる頭の回転の速さ、終末の話を真実という前提で考え、未来の自分がなぜそうしたのかに思考を巡らせられる柔軟さ。こういった部分からすぐに信用できたというか、不思議となにかとてつもない安心感を感じたのを覚えています。
”私は、「不可能」を信じていない。”
普通こんな風に断言することできますか…?なんて芯が強くてしたたかな人なんだと。そしてこんなにも強い人が味方についてくれている、真実を解き明かさんと協力してくれている。その事をとても心強く感じましたし、このあたりからすっかりヴェーネスの精神性に惹かれていたように思います。
そしてヴェーネスと2人で旅について語らうシーン。暁月で1,2を争うくらい大好きだったんです…。
自分が旅好きだから余計にヴェーネスの言葉にすごく共感できたし、何より世界の成り立ちや謎を追い求め世界中を旅している姿が、どこまでも純粋で、どうしようもなく愛おしくて、なんて魅力的な人なんだろうと。
”なんて不自由で厳しい世界……けれど、そこに生きる人々の、なんと愛しいことでしょう。”
私が旅を愛する理由ってまさにこれなんですよね。
どの国や地域も完璧なんてことはなくて、過酷な気候条件や自然災害など不自由さは数あれど、必ずその土地ならではの風土が形成され、それらに沿った文化や歴史が生まれる。どの世界のどの景色もみんな違って愛おしくて、私はその違いや不自由さから生まれるものを愛しているのだなと。
自分はなぜ旅が好きなのか、その根本的な部分に気付きはっとなった瞬間でした。
”あなたの旅は、良いものでしたか?”
だからこそこの台詞はこみあげてくるものがあった…。
これは私が特別にリアルゼアで旅をしてきた時間が長かったからというのもあるため、FF14のこれまでの旅路だけでなく、自分自身の旅まで走馬灯のように駆け巡って。
こんなにもゲームや旅に費やした時間、体験に対して真正面から向き合って、その価値を問いかけてくれることがあるのかと。
ゲームなのにとてもゲームとは思えない不思議な瞬間で。この一瞬だけ、ヴェーネスの目がプレイヤー自身を見ているような感覚があって、直接「私自身」に問われたように感じたんですよね。だからこそ、FF14の体験と今までの自分の旅、その二つを振り返って、自分の生きる意味、そして生きる歓びを再確認した瞬間でもありました。
ここでは問いへの答えを示せないまま終わるわけですが、これまで紡いだ旅路を振り返ればこそ、その答えは明確なんですよね。ここで伝えられなかったが故に、私の心の中にはいずれ伝えなくちゃいけない確固たるものとして残り続けていました。そしてすべての真実を解き明かし、未来へと希望を繋げ、二人の時間が重なり再会を果たした時に、その答えを提示する。
この物語の流れと構図があまりにも美しくて、それだけで泣いちゃった…。
ハイデリンに「人は生きるに足る理由がある」「生きる意味を自分たち自身で得た」ということを示す最後の試練なので、これまでの旅路がよかったと思えれば思えるほど、その気持ちは強くなるんですよ。
遥か彼方の遠い過去にかけられた問いに対する答え。それも決して一つではない、プレイヤー一人ひとりが抱いた答え、そしてここまで一緒に旅をしてきた暁のみんなそれぞれが見つけた答え。だからこそ、Answerではなく”Answers”。
それは同時にヘルメスが星の外に投げかけた問いへの返答でもあるわけです。
メーティオンの「幸せは、生きる歓びは最初からあったのね」という言葉に対して、「最初からあったわけじゃない」「世界は、みんなで作ってきたんだ」という返答をするのがとても良かった…!
童話の青い鳥は「幸せははじめから近くにあった」という結論でしたが(所説あるかも?)、FF14はそうではなくて。広い世界を旅し、多くを喪い、傷つき、苦しみながらもその都度大切なものを得てきた。生きる意味と歓びを自分たち自身で見出してきた。そうやって今までの旅路を紡いできたからこその答えでありメッセージなのかなと。
これは私たち冒険者が歩んできたすべての足跡、道のりであって。この長い歴史を経たMMOが描くストーリーのひとつの終着点として、これ以上ないくらいにふさわしく、美しいものでした。
自分はゲームも旅も両方愛しているので、今回暁月のフィナーレはそのどちらをも肯定してくれたような気がしていて、個人的にそれがとても響いたし嬉しかった…!今までゲームをプレイしていてこんな気持ちを抱くことも、こんな風に肯定されることはなかったですよ。
ゲームとリアル世界での旅、その二つの旅路を持つ者として、より一層思い入れのある、自分にとって深い意味のある作品になったと感じています。こんなにも美しいフィナーレを体験として提供してもらえたこと、プレイヤーとしてこれ以上ないくらい幸せでした。
コロナ禍で生き甲斐でもある旅行に行けず、陰鬱とした日々を過ごしていた中この作品と出会い、数多くの胸躍る冒険と心動かされる物語を味わう旅ができて本当に幸せでした。開発のみなさま、本当にありがとうございました!これからもまだ見ぬ世界の冒険を心から楽しみにしております!