ニーアオートマタをクリアしたので感想とか(ネタバレあり)
さてさて噂のニーアオートマタですけど早速クリアしましたよ…。
20時間もかからないで2周目までクリアできたので、1周あたりにかかる時間は相当短くあっさりですね。
なので状況的にはABエンドをみたところまでかと思いきや、さすが現代っ子。他エンディングも全部みちゃいましたよ、YouTubeで。(本当にすいません…そこまでやる時間はなかなか厳しいです…)
ということで、以下雑多な感想をぶちまけていきたいと思います。
雑多なのでネタバレ全開、未プレイの方は回れ右。そして無駄に長いです。
※ちなみに筆者は前作レプリンカントもプレイ済み
全体感想
さてさて。まず全体的な感想なんですけど、正直1・2周目はくっつけてくれればよかったんじゃないかなーと思ったのが本音です。まあ二つに分かれてる理由も演出的なこともわかんなくはないんですけど、なんにしても1周目じゃ話が不透明なうえにあっさり終わるから、正直????で終了。なんか伏線の張り方も正直なところめっちゃ気になるー!系のものじゃないので、ひたすら???となるだけっていう…。もう少し2周目へのモチベを押し上げてくれるようなストーリー運びや終わり方だったらよかったんじゃないかなーと思います。
そして2周目入って細部の異なる演出にテンションあがるも、あれ?これシューティングゲーだっけ?と思うほどのシューティング率の多さ。なんだろう…大事なイベント戦だったり、演出でやるのは構わないんだけど、毎度敵をハッキングする時のシューティングがダルすぎてな…。途中でちょっとコントローラー投げ出しかけてました。9Sの近接の使えなさはハンパないので、2Bのアクションの気持ちよさが恋しくなる2周目でした。
といきなりdisりから入ってしまいましたが、概ね満足はしております。ちゃんと前作の意志を引き継いだ「ニーア」していたと思います。このゲームのすごいところは、何と言っても「ニーア」というタイトルがそのままこのゲームのらしさを体現して、名詞化してるところですよね。それくらいニーアの世界観は独特で、一つ一つひも解いて説明していくことも出来るけれど、それでもなお別の言葉で置き換えがたい「ニーアらしさ」というものがある。こればっかりは制作人のみなさまに感服でございます。よくここまで他ゲームに追従を許さない独特な世界をつくりあげたなと。
今作のニーアらしさ
前作から引き続きモノトーン調かつ全体を通して退廃的な空気を醸し出しているニーアですが、マップのビューイング変化や突然のノベルゲー、あとは東方並の弾幕ゲーなど要所要所でアクションRPGとしてのゲームバランスをわざと崩しているあたりも今作は健在でした。
今作はオープンワールドということで、前作よりも探索できる範囲は大幅に広がっており、かつ廃墟やそれらを飲み込む自然などの美術に関しては美しさを増すばかり。あのなんとも言えない退廃的で物憂げな空気はさすがニーアだと思います。
正直なところ、アンドロイドの数に対してバンカーのマッピング小さすぎじゃね!?と思っていたんですけど、あそこのデザインは結構好きだったりします。完全にモノトーンで統一されており、今の時代のゲームではなかなか考えられないようなあえての色調。宇宙かつアンドロイド達が住まう温度のない空間という印象があり、他の世界とは一線を画していて素敵でした。
音楽について
個人的には、前作には勝てなかった…。
いや私がレプリカントの曲を好きすぎるっていうのが大きいんですけど、メロディラインを口ずさめるレベルに深く印象に残る曲が少なかった印象です。とはいえもちろん雰囲気にぴったりで素晴らしいんですけど、あくまでBGMになってしまっていたかなと。とはいえフィールドや街での移動に対する音楽のシームレスな変化は相変わらず素晴らしいの一言で、変調に関して言えば前作よりは美しかったと思います。
いやもうホントに、イニシエノウタが好きすぎるので…このハードルが高すぎますよねホント…。でも所々でレプリカントの曲たちが編曲した状態で登場してたのが嬉しかったです。まさかのエミールの歌とかいうアホな曲が生まれてたのはびっくりだけど笑 エミールはいつからギャグ担当になったんだ…笑
ストーリー
※ここから大いなるネタバレなので注意
前作は人類補完計画的な完全にナウシカのお話だったと思いますが、今作は人類の存在はなく、アンドロイドも機械生命体も互いに自らをつくりだした、言わば創造主が滅亡した状態での代理戦争のお話でした。でも互いに自らの創造主が既に滅亡しているとはつゆも知らず、与えられた使命に従って意味もなく「命もないのに殺し」あっていた、というわけです。
CMのキャッチコピーでつかわれてた「命もないのに殺し合う」ってすごくいいですよね…語感もいいし、今作のテーマをたった10文字で見事に表現していると思います。
しかしそんな「命」が宿るはずのないアンドロイドも機械生命体も、人間以上に人間らしく、感情や愛情を持つはずがないのに持ち始め、自分達の変化に戸惑いを持ちます。今まで経験したことのない状況だからこそ、どう対処すべきなのか、どう行動すべきなのか、何が正義で何が悪なのか、ひたすらに疑問と葛藤を繰り返しながらもそれぞれが選択したエンディングを迎える…といった流れでした。
この命を持つもの・持たないもののお話は提議から帰結まで、そこまで新規性のある内容は生まれないのかなあと思っていて、毎回結論も同じ系統だったりするわけですが、個人的にはコッチ系の話が非常に好物なので終始ニヤニヤでした。
命をもたないものがだんだんと感情をもった思想や行動をする過程や、そこに至る苦悩や葛藤など、苦しみもがいてるうちに、あれ?もうこれってもはや人間と同じじゃね?みたいな、気付いたらそうなってました、みたいな流れが好きだったりします。結果論的な意味でもそうだし、そこに至るまでの過程が誰よりも人間らしくて良いな~と思います。人間じゃないものに、逆に人間らしさとは何か、を教えてもらうって逆説的で面白いんですよ。実際何事も、外から見た方がわかることって多いですからね。
命とは、存在するとは、生きるとは……
とういった根本的な存在する意味を問い続ける作品だからこそ、今作のキャラクター名は実存する哲学者たちだったんですねえ。マルクス、エンゲルス、パスカルとかはいいんですけど、突然コウシ、ロウシとか出てきたのには笑いました。カタカナで書かれると一瞬何かわからん。笑
一通りクリアしてみて思ったのは、今の時代あそこまで精巧なロボットやアンドロイドはまだいないですけど、pepperくんとか近いところまではきてるわけじゃないですか。これは昔から言われてることではありますけど、本当にそういったロボット、人工知能というものがいずれ命を持つ、というのはありえない話ではないんじゃないかなあと思うわけです。それで人間たちを支配する、とかそういう話はちょっと置いておいて、もし人類が滅亡した後に、私たちが創り出したロボットや人工知能が自らの存在意義を考え出すことがあって、かつ存在意義が分からないゆえの戦争などが起きてしまったら、この「人間もどき」を生み出してしまった人類は相当に無責任なんだろうなあと。でもそれがかつてのアリストテレスとかがやってきたことと同じとするならば、それは命がうまれる度に起きてしまうことなのかも、と思ったり…。なんだかそんなことを考え始めてしまいました。特に互いに創造主がいない中での代理戦争なので、余計にしんどく感じるわけですよ…うん…。
全体のストーリーとか、そのあとのプレイヤーの脳内補完できる余韻とか、そういうのは申し分ないんですけど、肝心のシナリオ運びがどうにも…という感じでした。最初にもチラっと書きましたけど、続きが気になるからはやく次にいきたい!という感情がうまれないんですよね。A2にしろ司令官にしろ2Bの使命にしろ、もう少し仄めかしておいてくれないと、真実を言われたところで、あ…そうなんですか…。で終わっちゃうのが悲しかった…。もう少しな…プレイヤーに予見というか想像させといてほしかったなあ…それとも私が鈍感すぎるのだろうか。私のせいだったらスミマセン。
相変わらず後味の悪いイベント
レプリカントもそうでしたけど、ほんとこのゲームの各イベントたち(サブイベ含む)って救われないの多いですよねーーーなんでこうも後味が悪いのか…(褒め言葉)
大抵のゲームのイベントって人助け的なことが基本だと思うんですけど、ニーアに関しては、人助けだと思ってやったら実はその逆でしたみたいなことが多くて、MPがガシガシ削られます。それがいいんですけどね。
今作は特にA2とパスカルのイベントが相当キツかったなーと。うん。あれホント一切救いがないですからね。子供たちを守るために感情を教えていたのに、そのせいで自殺してしまったとかさ…ホントに…つれぇわ。
あと花江くんの断末魔もそうなんですけど、悠木さんの絶望しきった声にならない叫びが最高でしたありがとうございます。まどマギのまどかの時も思ったんですけど、悠木さんの絶望した声最高ですよね。ボリュームが大きい絶望ボイスはやっぱりシンジくんの緒方さんとかが最高なんですけど、なんかもう恐ろしくて途切れ途切れにしか声がでないっていう状況がリアルすぎて、逆に生々しいので悠木さんはすごいと思います。心臓を刺された気分になった。
しかしあの声で何故おじちゃんなんだ…パスカルおじ…ちゃん……
あと最後にどうでもいい話なんですけど、今作って他作品のメタファーってほぼ無かったですよね?前作でやりすぎたから今作はやめたのかな?
ただレジスタンスキャンプでサブイベ受けた時に、9Sが「それは穏やかじゃないですね」って言ってたのには爆笑しました。どこのシュルクだよお前。
あれクリアしたら「これで安心ですね!」って言って欲しいんだけどどうなんでしょう。(クリアしてない人)
ということで長々と感想のような駄文を書き散らしてきましたが、また気が向いたら3週目に突入しようかなーと思います。
しかしながら三連休にはようやくSwitchが我が家に到着する予定なのでこれからはひたすらゼルダちゃんに命を捧げる予定です。ワクワク
最後になりますが、ニーアオートマタおすすめでございます。迷っている方は是非!
会社にいくようになったら服をめっきり買わなくなった話
私は1年の休学を経て、昨年の四月に無事社会人一年目となったのですが、それから約1年が立つところでふと思ったことがありました。
「そういえば最近めっきり服を買わなくなった…」
正直なところ、無駄遣いタイプか倹約家タイプかでいったら、圧倒的に無駄遣いタイプなのですが、その中でも特に服飾代出費が異様に多いんですよ。もちろんゲーム代や旅行代は月によって圧倒的に服飾代よりも上回るのですが、それは自分の大事な趣味なのでカウントしないことにしてます。
とはいえファッションも趣味の一つといえば一つで、特にスペインのファストファッションブランドが大好きでよく買ってしまう傾向にありました。
(それも厄介なのが、セールを待とう!とかお得に買おう!とかそういう精神がわりと皆無だったりするので、一目惚れした服があれば即買いというのが多いです。もちろん値段の上限はあります。)
そんな無駄遣いが多い自分だったのですが、最近の出費を振り返ってみると服飾代が限りなくゼロに近いことが判明。
それは一体何故か。
会社に着ていく服が制服と化した
正直なところ見た目も中身も反抗児なので、会社の中でも少し目立つくらいにはちょっとばかり尖った格好をしています。とはいえ、いくらなんでもエスニック系だったり、露出がほんのりあるもの、あるいはエッジのきいた柄物を会社に着ていくわけにもいきません。(いずれこういうのがOKな会社に転職したいです)なので、一応一線は超えないような服装に留めているのですが、流石にコーディネートに限界があるので一定のローテーションで回しているような状態です。
となると、自由に好きなファッションが出来るのは休日の週に2日だけ。つまり月だと約8日間程度。
しかもその8日間全て出かけているわけでは決してないので、必然的に月に3~4日程度しかちゃんとしたファッションは出来ないんですよね。
これだけ少ない日数の中にファッション意欲を燃やすことも流石にモチベーションとしてなく、あー服欲しいーともならなくなったというわけであります。
ここまで一定の服を毎日着まわしている自分に驚きを隠せないのですが、これはこれで選ぶ手間もかからないので楽ちんだなーと思います。つまり、会社にいく恰好はほぼほぼ制服になってるんですね。
でもやっぱり自分的にお気に入りだったり、身に着けていると気分がアガる服は休日にしか着られないので少々残念ではあるのです。
そうだ、断捨離しよう。
この間某本オフさんで大量に服を売らせてもらったんですが、いやはや部屋だけでなく気持ちまでスッキリしました。何故高校くらいの時に服がまだ箪笥に眠っているのか自分でも信じられません。特にもったいない精神とかではないんですけど、何故か定期的に片づけられなかったいらない服たちをようやく売りにだして、人生の次のステップへ踏み出せたようなきがします。
けっこうゴミみたいな服ばかりだったので、まあ1000円くらいいけば良い方かな~なんて思っていたところ、なんと5500円もいただいたので思わぬ収入にうはうはしておりました。しかしながら、この山のような服たちの総額を考えると恐ろしいことになるので、なるべく考えない様にしたいと思います。そして、なるべく必要以上の服は買わない様にしようと思いました。
結局何がいいたかったのかというと、
もう冬服にうんざりしてきたので、早く薄着がしたいということです。
ここ4か月くらい同じ服のローテーションとかほんと意味がわからないのではやくあったかくなってください。切実に。
それでは皆様良い週末をお過ごしください。
私はこれからニーアをプレイいたします。では!
Switchの予約をし損ねてむしゃくしゃしたのでニーアオートマタを買いました。
ついこの間2017年になったと思ったらもう3月!
信じられない…本当に信じられないスピードで時間が進んでいきますね…。
そんなこんなでついに3月に突入してしまったわけなんですが、ゲーマー界で3月と言えばもうアレしかないですよね。
はいそうです。
Nintendo Switchです。
前にもどこかの記事で書きましたが、残念なことに予約し損ねまして…愛しいゼルダの最新作がローンチタイトルだというのにこの失態たるや。もはや一生の恥レベル。
いつ手に入れられるのかはもう神のみぞ知るといった感じなんですけど、次のタイミングでこそは絶対にゲットしたいと思います。
というか、Switchのローンチは実質ゼルダだけみたいなもんですけど、初動どんな感じなんでしょうね…。海外人気はとんでもないのでまあわかりますけど、日本国内だと影響力がん~~?と思ってしまいますが…。とにもかくにも最新情報は欠かさずチェックするように心がけたいと思います。
ということで、世間がSwitchの話題でもちきり!ウハウハ!しているのと、月末月初の忙しさに辟易していたのも加わり、購入を先延ばしにしていたニーアオートマタを買いましたよ~~~~。
ででん。
まだプレイしておりません。はやくやりたいなあウズウズ
実はニーアの体験版はバッチリプレイ済みなのですが、アクションがやはり最高ですよねー。2Bたんのスタイリッシュな戦闘モーションとパンチラがダイナミックすぎて操作しててんぎもっちいいいっいいっっってなります。
そして今回も相変わらず周回プレイ前提のシナリオ、そして素晴らしい楽曲が勢ぞろいということでワクワクが止まりません。特に前者の仕組みについては、ニーア独自のものですからね。ゲームをクリアしてもなお、別の展開で楽しませてくれるこのギミックには脱帽です。
一点だけ、3D酔いとダンジョン内での迷子(方向音痴のため)が心配ですけどプレイするのが今から楽しみでございます。
気になってソワソワしている方はこれを機会に一緒に買っちゃいましょう!
そして前作をプレイしていない方はぜひこちらも。
クリアしたらまた感想の垂れ流しを書きにもどってきたいと思います。
ではまた!
Amazonプライム会員は、今すぐ「モーツァルト・イン・ザ・ジャングル」を観ないと損だよ!
前回のウォールフラワーの感想記事に引き続き、最近のアマゾンプライムの良さに魅了され毎週末狂ったように映画を漁っていたのですが、ふと目に入ったのがこのタイトル。
「モーツァルト・イン・ザ・ジャングル」
ジャングルの中のモーツァルト??一体どういうことなの…。
全く相反する世界のものがこうしてタイトルとして並べられていると、言葉として映る目にも、音として響く耳にも、強烈な違和感しかなく、はじめは完全スルーしていたのですが、とあるネットメディアにて「超おもしろいよ!」と書かれていたので観てみることに。
そして今、完全にドハマりしました。
やばいですこれ。中毒でしかないです。
普段あまり海外ドラマは見ないタイプの人間なのですが、海外ドラマにハマりすぎて廃人のようになっている人の気持ちが少しだけわかった気がしました。24がレンタル開始された時とかかなり大変だったような…。
ということで、今作のどういったところが面白いのか、簡単にその魅力を解説していければと思います。
簡単にあらすじ
伝統・格式ともにあるNY交響楽団に新しい指揮者を迎えることになったのですが、この新指揮者がメキシコ人の天才でとんでもなくぶっ飛んでるわけです。やることなすこと自由奔放・奇想天外で周囲の人々はそんな彼に巻き込まれていきます。それでも彼はユーモアにあふれ皆から愛される存在。そんな自由でカリスマ性のあるロドリゴ率いるNY交響楽団に、ふとしたチャンスから所属することになった駆け出しのオーボエ奏者、ヘイリー・ラトリッジ。彼女はロドリゴに巻き込まれながらも音楽家としての夢をかなえるために日々奮闘します。そんな二人と強烈な個性をもった楽団のメンバーが織りなすNYの音楽コメディ。
一話30分でめちゃくちゃテンポが良い
この作品はドラマではあるのですが、Amazonオリジナル作品ということで、一話が30分です。1シーズン10話なので 、単純計算すると30分×10話=300分(5時間)
つまり、1シーズン5時間もかからず観終わっちゃうんですねー。×3シーズンなので、全部で約15時間。一瞬ですよ一瞬。ちなみに私は全話を1週間で見終わりました。
それくらい1話のテンポがすごくよくて、毎回きちんと起承転結が組み込まれ、あっという間に30分が過ぎてしまうんですよね。しかも話の続きがすぐに気になる構成なので、気が付いたらあれよあれよと話数が進んでいる始末。完全に中毒です。
クラシック音楽はお高くとまってるわけじゃない
そろそろストーリーの部分に触れていきたいと思いますが、作品のテーマはやはり音楽、それもクラシック音楽です。これがロックバンドとかならまだしも、やはりクラシックというだけで少し敬遠してしまう方は少なからずいらっしゃるんじゃないかなあと思います。私はぜひそういった方にこそ、回れ右せずにまあ1話だけでも見てくれよと言いたいです。苦手意識がある方も絶対引き込まれること間違いなしだと思います。
では一体なぜなのか。
それは、本作が音楽を中心としたヒューマンドラマであると同時に、めちゃくちゃ笑えるコメディ作品でもあるからです。
クラシック×コメディと言えば、かの有名な「のだめカンタービレ」があり、私もこの作品は大っっ好きなんですけど、まさにあんな感じを想像していただきたいです。
主人公ののだめはもちろんのこと、千秋のことが大好きなオカマの真澄ちゃん、世界的に超有名指揮者のシュトレーゼマン…などなど、あの世界にはこれでもかというくらいの奇人変人があふれています。音楽という芸術性が求められる世界だからこそ、あそこまでぶっとんだ個性豊かなキャラクターたちが、のだめの世界を彩っているのだと思います。
本作もまさにのだめのような漫画に出てきそうなくらい、強烈なキャラクターの人物が勢ぞろい。超絶自由人でマテ茶を愛するメキシコ人指揮者のロドリゴをはじめ、誰とでもすぐ肉体関係をもつ(男女問わず)女性チェリストのシンシア、若手に厳しく嫌味ったらしい姑のようなオーボエ奏者のベティ、楽団の中でドラッグを売りさばく打楽器奏者のディーディーなど、え?これほんとに伝統あるNY交響楽団のメンバーなの?と唖然としてしまうような人物ばかりなのです。
クラシックと聞くと、紳士淑女がたしなむ上流階級の嗜好品で、俗世間とは一切縁のないような世界に住む人々のものだと勝手にイメージしてしまうかもしれませんが、決して内情はそんな高尚なものではありません。他の世界と変わらず、酒もドラッグもセックスも、好き勝手楽しんで乱れまくっているし、楽団員たちは資金調達に苦労するし、それに関係する人間関係は結構ドロドロ。要は、別にクラシックってそんな高尚なものじゃないよって話なんです。
クラシック×ラテン文化・ヒッピー文化
もちろん主題はクラシック音楽なんですが、別に最初から最後までクラシック音楽で通しているわけでもありません。というか、結構な確立で頭のおかしいことを彼らは繰り広げています。
例えば、人の私有地で勝手にオケのリハーサルをしては、ピザを頼んで皆でパーティを始めたり、わけのわからないヒッピー集団と一晩中踊った挙句、そのまま自宅に連れて行って騒音を出し続けていたり、突然姿をくらました元常任指揮者がキューバに行って現地人たちとボンゴを楽しんでいたり…と本当に常軌を逸したことばかりが常に起きているんです。
こういう日常の描き方というのはやはり日本のドラマには決してできないものであり、洋ドラだからこその描写なのだと思います。高い芸術性を持つ人が後先のことや常識といったことを全く考えずに思いつきで行動し、目に見えない感覚的なものをつかもうとするという行動は結構あると思うんですけど、そのアクション方法がやっぱりアメリカならではだなあというものばかりでした。日本ではあんな簡単にラテンやヒッピー文化に触れることが出来ないですからね。
そして改めて、欧米人てヨガとかそういうスピリチュアルなことが本当に大好きだよなーというのを改めて感じました。こういった体験を通して、自らの内に秘めた潜在的なパワーを引き出したり、高い精神世界みたいなものを求めたり、何かと外的なものから新たな世界をみつけるといった行動が多いような気がします。それらと今回のテーマであるクラシック音楽が見事にマッチしているのもあり、洋ドラにしか出せない魅力があったんじゃないかなあと思いました。
なんというか、ジャンルにとらわれず音楽が好きな人は観た方が良いと思います。
絶対に何かしら得るものはあると思うので。
↓気になった人はまずはダイジェスト版を
モーツァルト・イン・ザ・ジャングル シーズン1 ダイジェスト版
シーズン2で話が少し迷子なったり、アナ・マリアがでてくると一気にファンタジーになってしまったり、決して手放しで全てを絶賛できるわけではないですが(当然と言えば当然)それを差し引いてもめっちゃくちゃ面白いです。
この作品を観るためだけに年会費3980円払っても全く損じゃないレベルだと思いました。
週末は「モーツァルト・イン・ザ・ジャングル」を観ようぜ!
↓30日間は無料で体験できるので、その30日の間に一気観するのもあり
何気にゴールデングローブ賞もとってるんですよね。
そりゃ面白いわけだわ。
それではまた!
思春期の脆さと強さを描いた映画、「ウォール・フラワー」感想。
以前より会員でアマゾンプライムはちょこちょこ見てはいたのだが、あまりいい感じのラインナップが揃っておらず最近はチェックをサボりがちだった。
が、ふと思い立って友人から進められていたある映画をようやく鑑賞。
それがこちら。
『ウォール・フラワー』
結果からいうと、ものすごーーーーーく私好みの作品だった。
今まであらすじもきちんと読んでおらず、どんな話か全くわからない状態で観たのだが、何故今まで観ていなかったのか後悔するレベルでお気に入りの作品となった。
というわけで、以下気になった点をピックアップしながらの感想。
サムとパトリックの兄妹がひたすらにうらやましかった
本作でやはり強烈な印象を残しているのが、サムとパトリックの兄妹なのは誰しもが感じたことだと思う。異母兄妹ながらも非常に仲がよく、お互い様々な深い傷を抱えているにも関わらず、完全に振り切っている。兄妹だけれども親友。あんな兄妹いたら誰だってうらやましいよね…私もパトリックみたいなお兄ちゃんほしい…。
サムは自由奔放に生きてるslat美少女。けれど誰よりもしっかり者で、頭も良い。
パトリックはクレイジーでエキセントリックな美少年。見紛うことない美少年なんだけど、独特な変人オーラをもつ。
二人は互いに複雑な事情を抱えており、普通だったらがむしゃらに悩んで、卑屈になって、性格がハチャメチャに悪くなってもおかしくないのに、彼らはそれが一切ない。とことんまで振り切れており、ポジティブで、いつもクレイジーだ。人としての道を踏み外すこともなく(ドラッグとかはあるけどまあそこはアメリカなので…)、高校生活を個性的な仲間と共に謳歌して、心の底から人生を楽しんでいる。
この二人の生き方が、私には心の底から沁みた。
自らの異質で辛辣な経験に囚われ続け、卑屈に悩み続けることに果たしてどんな意味があるのだろう。私も学生時代、そのことに気が付いていればもう少し振り切ってより青春時代を楽しめたかもしれない。それくらい、彼らの生き方や気持ちの持ち用、全てが羨ましかった。
今でさえ、卑屈に悩んでしまうところに関しては本当にクソガキだと思う。そんなことをしたって何も変わらないし、何の意味も成さないことはわかっている。けれども、どうしても、甘えたくなる時があるのだ。
パトリックが夜のシェンリー公園にて、蒼白な表情でチャーリーにこう投げかけるシーンがあった。
「人は何故無力だ?」
いくら普段強がっていても、いくら陽気なフリをしていても、傷ついた心は癒えないし、ふとした瞬間に正直な気持ちがこみ上げてくる。
あのシーンが唯一、彼の本心を垣間見れた瞬間だったと思う。逆に言えば、こうして本心を本気で話せる友人がいなければ、彼の心は壊れてしまったはずだ。それほどまでに二人の仲は強く固い絆で結びついていた。
思春期の悩みはいつも自分が世界の中心
思春期というのは誰しもが悩みを抱えている。
そして何よりタチが悪いのは、何かに対して悩んでいる時、いつも世界が自分中心になってしまうことだ。何故こんなにも自分は不幸なのか、何故自分だけこんな目に逢うのかと、世界はいつも自分の方をみている。その結果、悲観し、絶望し、自身を追い詰め、心を無理やり歪ませていってしまう。しかし少し周りを見渡してみると、皆それぞれに悩みを抱えて葛藤し、不器用ながらも一歩ずつ前へ進んでいるのだ。
思春期という時期はこのプロセスがどうも長く、出口のみえない暗いトンネルを永遠と歩いているような気分になってしまう。
あの鬱屈した気分、仲間内でハイになっている時の高揚感、誰かと秘密を共有する特別感、恋をしたり、悩みを打ち明けられたり…とあらゆる事柄に感情を揺り動かし、自らの感受性を育てていく。それほどまでセンシティブで、それが故に脆く、誰よりも傷つきやすく、だからこそ互いの友情も固くなる。
何故人は間違った相手を選ぶのか――それは、自分に見合うと思うから
正直、これは真理なんだと思う。
恋愛対象として考えた時に、どうしてその相手を選んだのか。それは、自分に相応な、見合った人間だと直感的に感じるからなのだ。そこに理屈もなにもない。本能的に感じ取ってしまう「何か」がそこにある。
友人や知人に、何でこんなやつと付き合っているんだ?と不思議に思うカップルを誰しも一度は見たことがあるのではないだろうか。それはきっと、当人にしか視えていない、自分と似た部分を相手の中に見出してしまったからなのだと思う。心の奥底にしまっている自分自身が、鏡の前に立つように反射してしまったのだ。
この視点で世の中のカップルをみてみると、少し違った世界がみえてくるはずだ。
不釣り合いな二人には、外見だけではわからない何かしらの共通点が必ずあるのだ。それが表面にでているか、そうでないか、ただそれだけの違いである。
驚くほどに自己評価が低いサム
作中で何度かでてきた自己評価の話。これは家庭に問題がある子供にあるあるの話で、幼少期の頃から罵倒されたり、蔑まれたり、辱められたりということをされていると、どうしたって自信を欠損してしまう。特にサムはあれだけの美貌と賢さを兼ね備えながらも、不思議なくらいいつもクズ男と付き合ってしまう。これは同じくクズな父親にきちんと愛されたかった、ということの表れだと思う。それに対して周りは、もっと良い人と付き合うべきなのに…と心配しているが、正直なところサムからすれば、そんなことはどうだってよかったのだと思う。しかし彼女は最終的に志望の大学に受かり、自由を謳歌している。つまり、自らを縛り付けていた過去と決別し、新たな自分を手に入れ、別の人生を歩もうとしている。この展開は本当に胸熱だった。
the perks of being a wall flowerにおける「perks」の意味
直訳すると、「壁の花であることの特権」となるわけだが、正直私は和訳タイトルである「ウォールフラワー」で良かったんじゃないかと思う。正直、作中で「壁の花」であることの意義や特権みたいなものはあまり描かれていなかったように思う。
私の解釈としては、「壁の花」だったチャーリーがサムやパトリックたちの出会いをきっかけに自己を解放して過去のトラウマに向き合い自信を取り戻す話だという風に感じた。もし彼らとの出会いが「壁の花の特権」なのだとしたら、チャーリーは最初から最後まで壁の花であり続けることになってしまう。それとも、パトリックがチャーリーに、君はよく観察している~的なことを言ってたから、その観察能力=壁の花の特権があったからこそ、この出会いが引き起こされたということなのか?いやでもきっかけはチャーリーが思いっきってパトリックに話しかけただけなわけだから、別に観察能力は関係ない気がする……これに関しては完全にお手上げ侍。
パトリックが美しすぎる件について
最後の最後で言わせてほしい…超美形なのにクレイジーでいつもアホなことをしている人物が大好物なんす…
案外こういう人に限って、ものすごく暗い過去や深い傷を負っていることが往々にしてあり、深い仲になっていけばなっていくほど、それらが少しずつ見えてきて愛おしく感じるようになるんだと思う。普段のクレイジーさは自らの傷を外にさらさないようにするためのフェイクであり、本当の彼の姿を少しずつさらけ出してくれるようになる時なんて大興奮。今作を観て、エズラ・ミラー君の大ファンになってしまった…。
今度パトリックの美しさについてただひたすらに語る記事でも書こうかと思うレベル。これはひどい。
【結論】あんな青春時代を送りたい!
映画を観終わったあと、心の底からこう思ってた。日本のジュブナイルもののキラキラ感とはだいぶ一線を画してるけれども、これはこれでまた違った輝きがあるのだと思う。それは表面的でなく、カジュアルでもない、よりセンシティブかつ社会的な部分に突っ込んでいくシナリオ。決して爽やか青春モノではない、欠損した箇所がいくつもあるよりリアルな青春モノだった。
青春ジュブナイルものに大人の存在は必要ない。思春期の彼らの世界があり、そこで物語は生まれ、完結していく。子供しかいない彼らの世界だからこその脆さや痛さ、そして美しさがある。これはもう、大人が決して入り込めない世界で、年を重ねてしまった私たちが踏み込めない領域なのである。ある意味、スタンド・バイ・ミーもこういった感触がある気がする。
こんな感じで色々と書き連ねてみたが、この作品は私の人生のバイブル的作品になったといえる。観る人によっては、全く感情移入できなかったり、アメリカの高校生ライフに慄いたり、あまり肯定的な感情を抱けない人もいるかもしれない。けれども、映画なんてそんな感じで良いと思う。この作品は特に、響く人には響く、という類のものなのだ。
ということで、おそらく青春時代に悩み苦しんでた人は比較的感情移入できるような気がするのでよりおすすめ。現在進行形で悩んでる人もぜひこれを観て少しでも気が楽になればなーと。
今週末は『ウォール・フラワー』を観よう。
おしまい。
感情移入型の人におすすめ!独断と偏見で選ぶゲームミュージック10選
どうもこんばんは。
世間はNintendo Switch一色ですね。昨日の予約日では各店舗やEコマースで瞬殺だったと聞いております。そんな中私は10時過ぎまで爆睡をかましていたので見事にSwitchの予約を逃しました。
ゼルダローンチなのに…悲しすぎる…。
そんなこんなで世間のSwitch予約戦争からいち早く強制離脱させられてしまった私ですが、最近倉庫から引っ張り出してきたBOSEのスピーカーにて大音量で音楽を聴くことにどっぷりハマっております。
BOSEスピーカーの上でNow playingを教えてくれる猫目すん。
もちろん、昔からゲームミュージックは大の好物で聴き漁っていたのですが、このBOSEスピーカーで聴くとまた一段階上の世界にいけるというか、今までいいなあと思っていた曲が更に良い…!!と感じるようになりました。
そんなこんなで非常にテンションが上がったついでに、超独断と偏見で選ぶ、私的ゲームミュージック10選をご紹介したいと思います。
(※筆者はいわゆるレクイエム系の聴いていてカタルシスを覚えるような曲調が好きなので、かなり偏っております。ご了承くださいませ。)
本来ならば1曲ずつ語りたいところなんですが、時間がいくらあっても足りないので、ある程度まとめてご紹介していきたいと思います。その中でも、どうしてもこれが…!という曲は1曲に絞ってご紹介いたします。
1.ゼルダの伝説 風のタクト
エントリーNo.1はやはり、私をゲームの道へとずぶずぶ引きずりこんでいったこちらの作品。今思い返すと、ゲームミュージックにハマりだしたのも、タクトがきっかけだったと思います。
南の島のような文化がちらほら見受けられる本作では、世界観に合わせて民族調の音楽で、聴いているとなんだか東南アジアの島でビーチに寝そべっているような、そんな感覚を掻き立てられます。また、ゼルダといえば毎回「楽器」がストーリーの鍵となっておりますが、今作は「指揮棒(タクト)」。リンクが一つの楽器を奏でるのではなく、様々な楽器の奏者をタクトで導く、という設定も個人的には非常にツボでした。
▼好きなトラック
・勇者伝説
・おばあちゃん
・中ボス
・森の儀式
・ゴードン
・風の勇者
・地神・風神の唄 などなど…
太陽が降り注ぐキラキラした世界の中にも、どこか神秘的な物悲しさ、儚さみたいなものを感じさせる曲が多いですね。
あとは個人的に、ボスの登場曲がどれも好きでした。ゼルダはボス戦をとても大事にしているなーといつも感じていて、そのボスの特徴を捉えた曲が恐ろしいほど丁寧につくられていてただただ脱帽…。語っているとキリがないのでこのへんでやめておきます笑。
▼こんな人におすすめ!
民族調の楽器が好きな人、オーボエの悲しい曲調が好きな人、南の島が好きな人
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2.ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス
ゼルダ続きで申し訳ないのですが、嬉しいことに昨年サントラを発売してくれたトワプリです。
こちらは先ほどのタクトと打って変わって、正統派ゼルダでかつ教会音楽に近しい曲調が多い、かなり西洋クラシック的な音楽。昨年行かせていただいたゼルコンでも思いましたが、何よりオケ映えのする曲が多いです。特にコーラスの方々が入る曲が多いので、教会でミサを聴いているようなそんな感覚になれます。もし教会で時の神殿の曲とか聴いたらリアルに召されそう…。
▼好きなトラック
・タイトル
・Teaser Music #1 ←これYoutubeでしぬほど聴いてました
・ルテラのテーマ
・傷だらけのミドナ
・森の聖域
全てにおいて、「神聖さ」を感じさせる曲調だと思います。
個人的にルテラのテーマが死ぬほど好きで、ハープで弾いてみてえええええと勝手に思ってました。とにかく聴いていて、美しい曲だなと感じます。色で表すと天女の羽衣みたいな玉虫色のようなオーロラ色のような、そんな淡いグラデーションを放っているような感じです。
▼こんな人におすすめ!
教会音楽が好きな人、バロック音楽が好きな人、神秘的なコーラスに身を委ねたい人
ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス HD オリジナルサウンドトラック
- アーティスト: ゲーム・ミュージック
- 出版社/メーカー: タブリエ・コミュニケーションズ
- 発売日: 2016/07/27
- メディア: CD
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3.ペルソナ4
はいきましたペルソナ4です。
ゲームミュージックサントラとしては異例の売上を見せた伝説のアルバムです。
実をいうとペルソナシリーズを初めてプレイしたのは4だったんですが、はっきり言って衝撃的すぎました。何このオサレ音楽、意味わかんない。ほんとこれに尽きます。
ゲームをプレイしていない人ですら音楽目当てでこのサントラを買っている人が多くいるほど。このサントラの質の高さがうかがえます。
ちなみに筆者はゴールデンよりも無印派なのであえてそっちのサントラを推します。
▼好きなトラック
・Pursuing My True Self
・Songs Of Love
・Backside Of The TV
・Heartbeat, Heartbreak
・I'll Face Myself
・Heaven
もう名曲揃い過ぎて正直選べないんですが、ざっとこんな感じ。
POPでROCKな曲が多いですが、どこかアヤシイ、不安定な曲があるのも魅力的。
原曲も大好きですが、Never moreというアレンジCDも最高なのでそちらも合わせて是非。
▼こんな人におすすめ!
天気のいい日にノリノリで音楽を聴いて歩きたい人、ロックバンドが好きな人、やる気を出したい人
- アーティスト: ゲーム・ミュージック
- 出版社/メーカー: Aniplex Inc.(SME)(M)
- 発売日: 2008/07/23
- メディア: CD
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↓アレンジverもめちゃくちゃおすすめ!
- アーティスト: 目黒将司(メインコンポーザー)
- 出版社/メーカー: アニプレックス
- 発売日: 2011/10/26
- メディア: CD
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4.ペルソナ3
はいペルソナ続きですすいません。
こちらは4とはまた違って、このタイトル画像をみた印象からもわかるように、かなりクールでヒップな曲が多いです。目黒大明神は一体どれだけの引出を持っているんだよ…。
正直なところ、曲だけで比べてしまうと3>4だと感じるくらい、3は全てが名曲。
都会の反抗心を抱えた若者の心理?そんな印象を受ける曲が多いです。攻撃的でノリノリな曲調なんだけど、ふとした瞬間に思春期特有の情緒の不安定さや脆さ、気だるさを感じるような、そんなサントラです。ゲームを知らない人でも、とにかく聴いてもらいたい一品。
▼好きなトラック
・Burn My Dread ←死ぬほどすき!!!!!!とにかく聴いてほしい
・Want To Be Close
・When The Moon's Reaching Out Stars
・巌戸台分寮
・Mass Destruction
・Master of Shadow ←イントロが神
・Deep Breath Deep Breath
・キミの記憶 ←カラオケで歌いたい…
どれもこれも好きすぎて選べないのが結論。戦闘曲やボス戦曲はもう言わずもがなの名曲でカッコイイ!の一言に尽きるわけです。個人的にはボス戦曲のクールに戦闘がはじまるあの感覚がたまらんのですよね。アクションじゃなくてターン制のゲームだからこそできるボス戦のサウンドだと思います。
▼こんな人におすすめ!
ヒップホップが好きな人、社会に反抗心を持っている人、 若者の気持ちを取り戻したい人
- アーティスト: ゲーム・ミュージック
- 出版社/メーカー: アニプレックス
- 発売日: 2006/07/19
- メディア: CD
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- アーティスト: ゲーム・ミュージック,Lotus Juice,川村ゆみ,小宮知子
- 出版社/メーカー: アニプレックス
- 発売日: 2007/04/18
- メディア: CD
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↑アレンジ版のサントラもしぬほどおすすめ!原曲がまるっと素敵アレンジによって輪廻転生しております。目黒大明神のお力に脱帽。
5.キャサリン
アトラス信者かな?って感じの連投ですみません。
今作はジャズ系の大人なメロウミュージックが多いんですが、ゲームをしているとアメリカ映画を動かしているような、そんな感覚になれる曲が多いです。ストレイシープというバーでお酒を飲んだり常連さんと話をしたりという行動フローがあるのですが、あんなシャレオツなバー近くに欲しいいいいいと思うくらい、落ち着いていて現実世界と良い意味でリンクした不思議な空間を作り出していると感じました。
▼好きなトラック
・ブルックスはかく語りき
・Stray Sheep
「ブルックスはかく語りき」、この曲に尽きます…!!
夜間接照明で照らした部屋でウィスキーをロックで飲みながらメロウなジャズを流して大人の時間を楽しむ…そんなシチュエーションを見事に体現した一曲。いや、こんな大人な時間を過ごせたらいいんですけどね…なかなかね…。
夜この曲を流しながらボディクリームを塗ったりストレッチをしたり…というリラックスタイムを過ごすのにぴったりです。
この曲以外にもクラシックをアレンジしたパズルステージの曲もなかなかに良いのでおすすめ。個人的には「だったん人の踊り」のアレンジがツボでした。
▼こんな人におすすめ!
リラックスしたい人、ジャズが好きな人、クラシックが好きな人
- アーティスト: ゲーム・ミュージック,L-VOKAL
- 出版社/メーカー: アニプレックス
- 発売日: 2011/02/23
- メディア: CD
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6.ゼノブレイド
以前記事でも書きましたが、何故か就活の時期にしぬほどハマってリアルに寝る間を惜しんで1週間でクリアした名作中の名作。リメイク前より風の噂でめちゃくちゃ面白いと聞いていましたが、これは心の底からやれてよかった…!と思える作品でした。
ゲームとしての完成度もさることながら、音楽が素晴らしく良いのですよ…。この作品の完成度を高めている要因の一つとして、音楽と演出のパーフェクトなマッチングだと思っているんですが、それくらいプレイヤーの気持ちをストーリーの盛り上がりと共に高めてくれる最高の相乗効果を生み出してくれる素晴らしい作品でした。それくらい、聴いていて最高に気持ちが良かった…。
▼好きなトラック
・メインテーマ
・敵との対峙
・燐光の地ザトール 夜
・マクナ原生林 昼
・サイハテ村 夜
・堕ちた地で…
どのゲームミュージックにも当てはまることですが、ゼノブレイドの曲は全体を通して、ゲームをプレイした人がより気持ちをのせて二度美味しい聴き方ができると思います。敵との対峙なんて、ゲーム中のあらゆるムービーが頭の中で駆け巡りますもん。。
あのサビにかけて上りつめていく感じがたまらんです。ほんとたまらん。
またフィールド曲は昼と夜で違う曲になるのが素晴らしいですよね。昼夜や天候をグラフィックだけでなく、BGMも一緒に合わせて変化させてくれることによって、より没入感を生み、私たちをゼノブレイドの世界へ誘う効果があると思います。
▼こんな人におすすめ!
気持ちを高ぶらせたい人、RPGらしいフィールド曲に癒されたい人、ハードでロックな戦闘曲が好きな人
- アーティスト: ゲーム・ミュージック,Sarah Alainn
- 出版社/メーカー: SMD
- 発売日: 2010/06/23
- メディア: CD
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7.FINAL FANTASY XV
はい、噂のFFXVです。
もうね、別の感想記事でも述べましたけど、なんといっても下村陽子さんの作曲スキルに頭が上がりません…ほんとすげーよこの人…。
下村さんはラフマニノフが好きらしいんですけど、今作にはそれがかなり滲み出ていたように感じました。とにかく壮大で、厳かで、交響曲なんじゃないかって曲がこれでもか!と収録されています。
▼好きなトラック
・Somnus
・Valse di Fantastica ←最&高!!!!
・APOCALYPSIS NOCTIS
・Melancholia
・Sunset Waltz
・NOCTIS
ここにあげたものは特に好きなもので毎日スマホで通勤時に聴いてるくらいです。
Valse di Fantasticaを初めて聴いた時はびっくりしたなー…えっこの曲がフィールド曲でいいの!?ってなりました。ワルツのリズムと旋律が美しすぎて、ショパンのシルフィードの中に入っててもおかしくないような仕上がり。ついつい踊りたくなります。
また、メインテーマからのNOCTISと続けて聴くと涙が心の底から湧き上がってくるので注意です。破壊力120%
Final Fantasy XV Live at Abbey Road Studios
ちなみにこちらはイギリスのAbbey Road Studioでオケ演奏された時の映像。フルで公開してくれるなんてスクエニさん太っ腹。下村さんも最後ピアノで参加されていたりと超貴重映像ですのでまだ見てない方は是非。耳がしあわせになれます。
▼こんな人におすすめ!
とにかく壮大な曲が好きな人、ラフマニノフが好きな人、悲しい曲調が好きな人
8.NieR RepliCant
スクエニが続きますが曲の系統はここから少し斜め上へと軌道が変化してまいりますよー。
こちらはより悲しい、というか悲壮感の強い曲揃いになります。なんというか、悲壮というよりも絶望というか、死の世界を見ているようなそんな感じ。でも不思議と感じる色は「白」なんですよね…ただひたすらに悲しいだけでなく、儚い美しさを感じさせる透明感のある音や旋律があるからなんだと思います。
▼好きなトラック
・夏ノ雪
・イニシエノウタ/デボル ←ずっと聴いていたいくらい癒しの曲
・心閉ザセシ鉄棺
・オバアチャン
・全テヲ破壊スル黒キ巨人
・カイネ
・エミール
曲名がいかにも中二病な感じなのが玉に傷なんですが、そんなんどうでもよくなるくらいには一つ一つの曲が個々の世界観を持っていて独特なニーアの世界に引き込まれていきます。ボーカルのエミ・エヴァンスさんの声がまた透き通るような響きをもっていて、最高のハーモニーが生まれるんですよ…。全て造語にも関わらず、彼女が作詞をしたというのだから驚きです。
私もデボルさんみたいに噴水の前でイニシエノウタをアコギで弾き語りしていたい人生だった…。
▼こんな人におすすめ!
気持ちが病んでる人(笑)、音楽に救われたい人、レクイエムが好きな人
ニーアゲシュタルト&レプリカント オリジナル・サウンドトラック
- アーティスト: ゲーム・ミュージック
- 出版社/メーカー: SMD
- 発売日: 2010/04/21
- メディア: CD
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9.アルトネリコ~澪~~星詠み~
知る人ぞ知る、というかゲームミュージック界では屈指の名作、ゲームソフト界としては屈指のクソゲー音楽ゲー、アルトネリコです。
この作品は志方あきこさんの音楽のために存在しているといっても過言ではないくらい、音楽に軸が置かれた作品です。ちなみに筆者はソフトに関してはあまりにもつまらな操作がわからなすぎて途中で放棄しました…ごめんなさい…。
▼好きなトラック
・謳う丘
・EXEC_CHRONICLE_KEY/.
・星詠~ホシヨミ~
謳う丘は比較的有名ですよね。
少し好き嫌いが分かれるジャンルかとも思うので、こちらに関してはもう言葉で説明するよりも、まあまずは一曲聴いてみてよ、と言う他ありません。それで大丈夫なら志方さんの世界への第一歩はクリアです。そして、そこから更に前へ前へと進んでみてください 。きっと今までに見たことのない世界が目の前に広がっているはずです。
…だんだん新興宗教の勧誘表現みたくなってきたのでこの辺でやめておきます。
志方さんは一種の宗教。
▼こんな人におすすめ!
ヒーリング系音楽が好きな人、女性の高音ボーカルが好きな人
「星詠~ホシヨミ」-Ar tonelico hymmnos concert Side 蒼-
- アーティスト: 志方あきこ/石橋優子,志方あきこ,石橋優子,土屋暁,篠田朋子,青木香苗,Leonn,工藤順子,中河健,阿知波大輔,稲垣貴繁
- 出版社/メーカー: ハッツ・アンリミテッド
- 発売日: 2006/01/25
- メディア: CD
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「澪~ミオ」~Ar tonelico2 hymmnos concert Side.蒼~
- アーティスト: 志方あきこ
- 出版社/メーカー: ハッツ・アンリミテッド
- 発売日: 2007/10/24
- メディア: CD
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10.花帰葬
「もっと評価されるべき」
もうね、ほんとにこれ。個人的に志方あきこさんの真骨頂だと思ってますこのアルバム。何故こんなに素晴らしすぎる大作のアルバムがここまでマイナーな場所でくすぶっているのか…一人でも多くの人に是非耳にしてもらいたいアルバムNo.1です。
この楽曲たちもなかなかニーアとかと雰囲気自体は似ているんですが(女性の高音ボーカルやミサ系)唯一違う点と言えば、若干ですが花帰葬の方が音に光がある気がします。ニーアは死や絶望感が強く、最終的にはBADENDを想起させるような曲調が多い気がするんですが、こちらはなんとなく光が差し込んでいるような、絶望の中にも一縷の希望があるような、そんな楽曲になっていると思います。
▼好きなトラック
・花帰葬
・白く降り続くもの
・邂逅
・玄冬
・薄明
・Agnus Dei
・泡沫
・Se l'aura spira
↑騙されたと思って聴いてください。本当に癒されます。
正直このアルバムに関しては思い入れがありすぎでとてもじゃないけど簡潔に表現できません。
サントラの他にも、ロシアのオケで演奏したオーケストラ版CDがあるんですが、これがまた最高すぎて語彙力を失います。以前このアルバムをAmazonで注文した時、はやく聴きたすぎて超エキサイトしていたがために、CDを包んでいるビニールを開けると同時にフタごとぶっ壊すというトンデモ事案を引き起こしたことがありました。こんなアホすぎることをしてしまうくらいには興奮する作品です。本当にまずは聴いてもらいたい。
▼こんな人におすすめ!
クラシックが好きな人、冬に合う曲が好きな人、癒されたい人、女性の高音ボーカルが好きな人
↓ロシアのオケ版 超絶おすすめ
こんな感じでまとめてみましたがいかがでしたでしょうか。もし皆様のお気に入りになる曲が一つでもご紹介できたなら非常に幸せです。
…にしても暗いですねーこのリスト笑。前半はまだいいですけど後半ニーアからの流れがひどいひどい笑。どんだけ根暗なんだよコイツと思われても仕方がないリストになってしましましたが、これが中高の青春時代をともにした楽曲たちです。(特に志方さん)そして、間違いなく自分の音楽人生、そして趣味嗜好に多大なる影響を及ぼした音楽でもあります。
みなさまもこの音楽たちと一緒にカタルシスを感じる日々を送ってみてはいかがでしょうか。きっと違う世界が開かれるのと同時に、ヤバい奴になれますよ!
おーしまい。
ペルソナ5は何故ペルソナ4を超えられなかったのか|超個人的感想
はじめに断りを入れておくと、このタイトルはあくまで「自分にとって」何故ペルソナ5がペルソナ4を越えられなかったのか、ということであり、決して「世間的に」という意味ではないのでご注意願いたい。
また、管理人にとってペルソナ4は今までのゲーム人生でNo.1と言っても過言ではないくらいの作品であり、ターニングポイントをつくってくれたきっかけでもあって、非常に思い入れが深い。
※4も5もネタバレ全開なので、未プレイの方はここでブラウザバックを推奨します。
以上のことを踏まえた上でOKな方のみどうぞ。
さて、先日ペルソナ5をクリアして、その感想記事を書いたわけだが
クリアして暫く経つと、やはりどうしても前作であるペルソナ4と比べてしまう自分がいることに気が付いた。それは何故なのか。
ゲームのハードもPS4となり、システムもUIもグラフィックも何もかも全て前作を上回っている。だがしかし、それらシステム面の向上に敵わないエンターテイメントにおける唯一無二の存在、シナリオ・ストーリーがどうしても、どうしても超えられなかった。
ということで、今回はペルソナ5をクリアした後だからこそ考えられる、ペルソナ4の素晴らしい点、そしてペルソナ5が一歩及ばなかった点について語っていければと思う。
ポップな外見とは裏腹に、中身はダークでエッジの効いたシナリオ
よくペルソナ4はポップかつリア充過ぎてそこが合わないという声を耳にするが、正直な所ここまでダークで見たくもない現実を突きつけてくる作品は中々ないと個人的には思う。
ペルソナという力は、本来の心理学の意味も含めて「自らの仮面」。つまり自分自身であり、自らの内面をそのまま映し出した姿だといえる。そしてこのペルソナの力を得るためには、誰しもが心に宿している弱い自分・コンプレックスに感じている自分を認めて許容し、昇華する必要があるのだ。
例えば陽介は、都会から田舎に引っ越し、つまらない日常に退屈していたところに殺人事件やマヨナカテレビといった非日常の事件が起こり、そこに巻き込まれながらも心の中ではそれらを楽しんでいる自分がいた。
完二は裁縫などの”女の子らしい”趣味を持っていたがために「男のくせに」と陰口を言われることに辟易し、人から拒絶されることを恐れ、コミュニケーションを拒否していた。
こういった弱い自分、コンプレックスに感じている自分、自分だと絶対に認めたくないような自分が、誰しも心の中に必ず存在する。そういった”もう一人の自分”は妬み、僻み、嫉み…様々などす黒い感情を何かに対して抱いた時に現れるが、当然ながらこんなどす黒いものを直視したい人なんているはずもなく、そのためゲームを含めたあらゆるエンターテイメントで直接的に描かれることは比較的稀であると感じる。
しかも追い打ちをかけるように、ペルソナ4の世界ではこの見たくもない”もう一人の自分”がマヨナカテレビという装置によって肥大化しているのである。この仕組みは本当にうまいなあと唸ってしまうのだが、メディアで取り上げられた人間に対して「もっと知りたい」「もっとみたい」という人間の欲望がマヨナカテレビという箱をつくりだし、決して真実ではない、事実を歪めたよりゴシップな映像を生み出してしまった。
これは最近の芸能界で言えば、ベッ〇ーや成〇君の事件などがいい例で、こういった特に人の不幸やタブー的側面に関わる事件が起きると、大衆はこぞって詳細を知りたがる。それが真実か嘘かそんなことはどうでもよく、ただ面白おかしくその事件を消費したいのである。
大衆の歪んだ欲望は、サウナを生み、ストリップ劇場を生んだ。
自分の見られたくないものがより誇張され、歪んだ方向に肥大化した”フィクションの物語”がメディアと大衆によって形成され、世の中へと垂れ流しにされる。こんな恐ろしい公開処刑があっていいものだろうか。これがあくまで2次元の世界で起きていることのため、私たちはエンターテインメントとして楽しむことができるが、これがもし3次元のリアルの世界だったとしたら。…ここから先は考えたくもないのは言うまでもない。
ペルソナ5における、ペルソナ覚醒のきっかけの弱さ
上で述べたように、ペルソナ4の登場人物達はみなそれぞれ心の中に闇を抱えており、苦しみながらもそれらと正面から向き合い、自分の力へと昇華させていった。
ここでペルソナ5の登場人物達がペルソナ能力を手に入れる過程を思い出していただきたいのだが、橋野Dインタビューにはこう記述されていた。
そして『ペルソナ5』では、まわりの環境によって自分らしさを抑圧され、未来まで奪われそうになっている主人公たちが、荒ぶるシャドウとも言うべき“本音”を鎖でつなぎながらも解き放つ。そうすることで、世界を変えていくような力強さのあるペルソナが発現する。これが、ジュブナイルRPGでピカレスク・ロマンを描こうとしたときの、“ペルソナ”の解釈です。現実で本音を爆発させたら社会的にうまくいかないことも多々あると思いますが、ふだんは抑え込んでいる想いこそが、人の個性の源だったりもしますし、それを大いに発散していく本作のゲームプレイで、スカッとした心地になってもらえればと。
もちろん橋野Dが述べていることは頷けるし、中々表に出して表現し辛いような部分を描こうとしたのは素晴らしいと思う。しかしながら、「ふだんは抑え込んでいる想いこそが、人の個性の源だったりもしますし、それを大いに発散していく本作のゲームプレイで、スカッとした心地になってもらえれば」とあったが、残念なことに私はここで「スカッと」出来なかった。
それは何故か。
単純に言ってしまえば、敵の行動も目的も「陳腐」だったからである。
今回の「敵」という存在は、様々な悪行を行っている「腐った大人たち」であったが、こういう大人達の目的は結局、自分の私利私欲のためなのである。どんな種類の悪行をやっていようとつまるところ「私利私欲」に帰結してしまい、どうしても陳腐に感じてしまう点が拭えなかった。あらゆるエンターテイメント作品にありがちな金や地位、名誉、何故か世界征服を企む悪役。私にはそれと同じにしか映らず、登場人物たちと同様に怒りの感情を露わにすることが出来なかった。
「私利私欲」による悪行というのは、「悪役」にするための使い古された至極便利なツールである。よくヒーローもので、弱者を食いものにする敵に対して「許せない!」等の台詞を放ちながら敵を成敗していく、という構図をよく見かけるだろう。つまるところ、ペルソナ5もこの構図通りに進んでしまったのである。細かなキャラクターの背景などは、今の時代感にあった社会的問題を盛り込もうとした姿勢は感じられるが、この構図が根底にある限り、陳腐と感じてしまう要因は消し去ることができなかった。
本当に悪いのは一体誰?
この点ペルソナ4は非常に画期的だった。事件の真犯人である足立の動機は、私利私欲でもなんでもなく、ただ単純に「面白かったから」という理由である。
初プレイ時、この展開に対して非常に感心したのを今でもよく覚えている。現代社会の抱える闇の一つとして「退屈さ」というのが挙げられるが、彼も田舎に飛ばされたことによる「退屈さ」が事件を起こす一つのきっかけでもあった。これはかの有名なデスノートの主人公、夜神月くんが一連の事件を起こしていく最初のきっかけでもある。
少し話が逸れてしまうが、現代に起きている奇妙な事件の原因は比較的この「退屈さ」にあると考えている。人間は暇を持て余すということに対して強いストレスを感じるらしく、忙しく動いていると決して考えもしないようなおかしなことを考えたりする。この「退屈さ」が引き起こす問題の代表格として「いじめ問題」があると私は考えるのだが、5のPV(山手線に乗ってるムービー)でこの文字が見えた時はてっきりこのテーマに切り込んでいくのかと思い、ぞくぞくした。(残念ながら使われなかったが)
話を戻すと、現代社会の抱える闇の一つである「退屈さ」が足立の犯行を後押ししたと考えると(もちろん直接的には、らっしゃーせーが与えた力なのだが)、4で起きてしまった一連の事件の原因は、元を辿れば「社会の歪み」である。単なる足立という愉快犯の責任、ということではなく、直接的な動機のないこういった愉快犯を生み出してしまった根本的な原因は何であったのか、真エンドではきちんとそこまで突き止めていくのである。現実世界でも、おかしな事件が起きてしまった時に「嫌な時代だなあ」と、なんとなく時代の責任にし、そして他人事のように感じてしまう部分があるかと思うが、元を辿るに辿れば、自分たちの行動や姿勢にも、その責任の一部はあるのではないだろうか。
特に私は、いつも何か事件が起きた時に「容疑者」だけに刃が向けられることに対して違和感を覚えていた。事件を起こした犯人に責任があるのは当然のことであるが、たまにそれだけでは説明のつかないような、社会のシステム自体が容疑者を犯行に追いやってしまったというケースも多々あると感じている。そういう根本的な問題に目を向けないで、お手軽な方へ簡単な方へと事態を流していってしまうこの世の中に対して、それっておかしいんじゃない?と疑問を投げかけることは非常に難しいことであるが、このペルソナ4という作品はやってのけた。これが何よりも私が評価している点であり、自分のゲーム史に残る最高の作品である所以なのである。この点5は勧善懲悪ストーリーとなっていたため、事象の奥深くに潜んでいる「根本的な原因」を突き止めていく、という要素がかなり薄かった。
もう「悲劇」による感情移入はできない
キャラクターに感情移入が出来なかった理由としてもう一つの要素があった。
それは、キャラクターへ感情を寄せるきっかけを「悲劇」に頼ってしまっている点である。
ここで述べている「悲劇」とは、キャラクターの背景として、親の死などわかりやすい悲劇性を持たせることによって、このキャラクターは苦労している可哀想なキャラなのだ、という意味付けをするという、これもまた使い古された手法である。
今作は主人公を筆頭として、パーティメンバーの境遇がなかなかに酷い。今回は「居場所がない若者」というのをテーマにしているので当然なのだが、「悲劇」にも種類があり、5に感じた印象としては、どこかこう「オラオラ!ひどいだろ!!怒れよこの大人たちに!!」という半ば暴力的で強引な、物理で殴ってくる感じの「悲劇」の見せ方だったように感じる。既に身近ではない悲劇の設定+強引な見せ方は、現実と乖離しすぎて感情を乗せることができなかった。
これが単純なファンタジーのゲームであるならば、割り切って考えられるのだが、ペルソナの良さは「実際の現代社会」を舞台にしているところだと思っている。私たちプレイヤーにも起こりうるような、現代社会に潜んでいる闇、事件に焦点をあてて、ゲーム仕様に着色したのがペルソナの肝であると考える。そのため、舞台は現代社会であるにも関わらず、設定がちょっとファンタジー寄りになっており、そこのちぐはぐ感が亀裂を生み出してしまったように感じる。
その点、4のキャラクター達はどこにでもいそうな、比較的平凡な学生だった。もちろん、アイドルや探偵などというレアジョブキャラもいるが、設定はレアだったとしても、実際に彼らが抱えている悩みは現実と乖離しておらず、非常に納得のいくものだ。現代社会の若者誰しもが、今の時代だからこそ抱えている闇、悩みといったものに焦点をあてているため、「悲劇」に頼ることは一切なかった。キャラクターに感情移入するために、「悲劇」ではなく「弱さ」や「ダメなところ」見せることによって私たちに共感を促した。誰にでもあてはまるような事柄だからこそ、誰でも共感できるし感情を乗せることができる。これが4の素晴らしい良さの一つでもあり、4のキャラクターが愛される所以でもある。現実でも自分の友人や恋人の弱いところを知れば、より好きになるのと同じだ。
ということで、長々と関係のないことまで述べてしまったが、こんな感じで今作は自分の中で前作を超えることができなかった。ただこれは4の完成度が究極に高すぎてしまったこともあり、その前作を超えていく、ということ自体非常に悩ましいことだったのだろうと思う。その中で世界的にあれほど評価されたペルソナ5という最新作を生み出したアトラスは本当に素晴らしいと思う。
あらためてまた述べさせてもらうが、今回はアトラスとペルソナ5という作品に対してリスペクトをもって、あえてこういった記事を書かせてもらった。ペルソナという作品が私にとってとても大事だからこその、勝手な個人的な意見であり感想なのである。