屋根裏のゴミ

おもにゲームとか映画とか旅行とか、超独断と偏見に基づいたことをおすすめするブログ。

芸術の秋なので、改めて『のだめカンタービレ』について語ってみる

自分でも不思議なことに、季節が秋冬になるとクラシックやヨーロッパが恋しくなるんですよね。コルダしかりのだめしかり…。

もう11月も下旬…ということで、今年もやはりやってきました”秋のクラシック症候群”。突然のだめが観たくなって、ドラマからヨーロッパスペシャル、そして映画まで全て観たんですけど、ドラマの放映から10年以上経っているとは全く思えないほど演出・構成ともに素晴らしいんですよね…何度見ても色褪せないんだよなあ…。

ということで、のだめ熱が再び急上昇しているのを機に、改めてのだめを観て感じたことを垂れ流していこうと思います。

(まず事前情報ですが、これを書いている筆者はドラマとスペシャル、映画のみを視聴しており、原作は一度も触れておりませんので悪しからず。そして全くまとまりがありません。)

 

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のだめっていつも、「千秋先輩と〇〇がやりたい!」といった風に、必ず主語には千秋がいるんですよね。それは自分でこの曲が弾けるようになりたいとか、〇〇みたいに弾けるようになりたいとか、自分の技術や能力の向上ではなく、あくまで千秋と一緒に最高のハーモニーを奏でること。to beではなく、to doの考え方。途中どこかのシーンで千秋が、「はやく満足して終わらせたがっている気がする…」なんて台詞を言っていましたが、実はこの感覚、すごく共感できるんです。

 

ずーっと「千秋と協奏曲がやりたい」と言っていたのだめが千秋の演奏を聴いてその感情がピークに達し、学校の2台ピアノでラフマニノフのピアノ協奏曲第二番を弾いたエピソードがありました。しかもその翌日、非常にスッキリとした表情で「もう先輩との協奏曲は終わりましたよ?」と。この様子を観た時、なんだかのだめは千秋とずっとセックスしたがっていて、ようやくできた後の賢者タイムみたいとか超下世話なことを思ってしまいました。決してのだめみたいに何か特別に秀でた才能があるわけではないのでとてもおこがましいのですが、でもこの感覚は非常に理解できて、目的やゴールがto beではなくto doになっていると、それをやりきってしまった時、何とも言えない虚脱感や虚無感が襲ってくるんですよね。セックスの快感をひたすら求めて、いざ絶頂に達したらその後は燃え尽きてしまい、以前の渇望感はどこへやら…といったように一瞬にして興味を失ってしまう。もちろんこれ以外にも、ずっと好きだった人といざ付き合ったら急に冷めてしまうとか、ずっと欲しかったものがようやく届いたら、手に入れたことで満足してしまい、その後は一切触れなくなるとか、色々例を挙げればたくさん出てくると思います。

でもそれくらい、何か得た時・やり切った時の快感は他では味わえないほどの力があって、それらを味わうために何かを得たい・やりたいと思うんだろうなあと思んです。その先に待っている感情の正体を知っているから、これをやったらあの快感を味わえるから、そんな風に私たちはいつだって感情や快感の虜で、それが原動力で生きているんだなあと。だからこそ、to doではなくto beの目標を持つことの難しさを今一度感じたり。

 

オクレール先生がのだめをずっとコンクールに出さなかった理由がよくわかった気がします。のだめは常に直情的で、その時思ったこと・考えたこと・感じたことをすぐやって満足したがる傾向にあります。先生はそのことをよくわかっていて、もしあの時コンクールに出していたら、奇跡的に入賞はできるかもしれない、けれどもその先が千秋との協奏曲で終わってしまう。コンクール=千秋と協奏曲をするための手段であるうちはだめだと。「正面から音楽に向き合って」、その上で自ら上を目指したいと考える段階にならないとだめだと。

 

プロになるって本当っっっっに大変な道のりだよなあ…。

 

 

また改めて思うのは、音楽と恋愛の組み合わせというか相乗効果って何故あんなにも心地良いんでしょうね。ダンスとか絵画とか自己表現をする術は色々あるけど、音楽は文字通り協奏して、互いの感情を融合させ、一つの音楽にまとめあげていくからなんだろうなあと。さっきから何度もアレですけど、やはりセックスと本質的には同じな気がします。

だから互いにいい演奏が出来た時、最高に気持ちがいいし、またあの感覚に溺れたい、あの感情を表現したい、と思うんでしょうね。それが恋愛とすごく重なるなあと。

 

 

ここからは完全に余談ですが、のだめをみてラフマニノフのピアノ協奏曲第2番にハマった人は是非、辻井伸行さんのプロムス公演をみるといいですよ。実家はWOWOWに加入しているので、リアタイで(もちろん録画も)見てたんですけどハンパじゃなかった……。今まで聴いてきたオケのなかで一番よかった…。

なので私の中では辻井さんのピアノを生で聴くことが夢なんですけどなかなか難しいね…コンチェルトなんて尚更…。

第一楽章の鬱々としたメロディから始まり、第三楽章のラストで解放される感じがもうたまらんですよね。実際に鬱状態に陥っていたラフマニノフが救済される様子が完璧に曲に表れているんだと思います。鬱屈とした気分の時に聴くと心が救われます。私的ベストオブカタルシスミュージック。

 

そんなこんなでまとまってないですがおしまい。